2月6日から『吉田道彦水彩画展』を、開催致します。
こんにちは
『早良美術館るうゑ』です。
ただいま、当館は2月3日まで
「第5回早良・室見川水彩画展」
を開催中です。
今週、最後の開催です。
是非お越し下さい。
そして、明けて2月6日からは
『吉田道彦水彩画展』を、開催致します。
皆様のお越しを、お待ち申し上げております。
「吉田道彦水彩画展」
2013年02月06日(水)〜02月26日(日)
五十年ぶりの初恋の人
吉田道彦
今回水彩画作品を発表する機会を得て、今まで描いた絵を振り返る時、
ふと一枚の油絵が頭に浮かんだ。
それは建設会社勤務中の二十四歳の宮崎の現場でのこと。
戸外に出て絵を描く時間の余裕はなく、宿舎の一室で、
部屋の壁にかかるカレンダーの「ミレーの落ち穂拾い」
に魅せられて模写することにした。
昼食後の
僅かな時間と夜に筆をとった。
三ヶ月かかったであろうか、我流の[落ち穂拾い]が完成したのである。
それを見たA先輩が「俺の家に飾るから呉れ」と言って
自宅へ持ち帰られた。
これを最後に絵筆をとることなく四十年間の勤務が終った。
この度頭に浮かんだのはこの絵である。
しかしA先輩は昨年他界されている。
でも居ても立っても居られなく、勇気を出して奥様に電話すると、
「あります、二
階の部屋に飾っています」とのことで……
その絵を譲り受ける話がまとまった。
早速、新下関の御宅へ妻と訪ねた。
正真正銘の五十年ぶりの我が絵との対面である。
感激のあまり目に涙が溢れた。
奥様もこの絵の額をA先輩と求めに行かれた当時の思い出話をしながら
ハンカチを手にされていた。
また「十日後には東京の
子供の所に引越します」と
迎えの娘さんと荷造り中でもあった。
なんとタイミングよく連絡がとれたもの、
と仏壇の亡き先輩にお礼の合掌をした。
帰りの新幹線の窓に若き日の思い出が走馬灯の如く駆けめぐった。
妻曰く「絵を見て泣いてたね」と、「
そうよ五十年ぶりに初恋の人に出会ったからね」、
今、その里帰りの恋人はわが家のリビングの壁に……。
(福岡市早良区在住)
![]() |
地域演劇という不思議空間―甦る情景……期待と混沌と 価格:¥ 1,890(税込) 発売日:2008-04-28 |
![]() |
途方に暮れて―ひと・こと・ところ五十年 価格:¥ 1,800(税込) 発売日:2010-04-10 |
![]() |
わたしの香月泰男ノート 価格:¥ 1,835(税込) 発売日:1996-08 |